2017年4月2日日曜日

MSL職とは何か

MSL職とは、Medical Scientific Liaisonの略語です。「Liaison=橋渡し」という意味ですから、医学的な専門知識を用いて社内外を“橋渡し”する職業です。“橋渡し”は、①社内と社外間、②社内部署間、③社外組織間の3つに分かれます。例えば、社内と社外間の“橋渡し”では、製品や疾患領域の最新情報の共有、提供、収集があります。社内部署間の“橋渡し”では、各部署と連携して、製品価値向上や臨床研究の企画運営といった、メディカル戦略策定があります。社外組織間の“橋渡し”では、論文投稿や学会発表の後方支援といった、成果の発信があります。他にも医学的な専門知識を用いる業務ならばMSL職の範疇と成り得ます。

MSL職は、海外では導入が進んでいますが、国内では最近導入が始まりました。2015年に国内企業では初めて塩野義製薬が新卒採用を開始しています。その後、他の製薬会社でも、新卒採用が広がっています。

実は、このMSL職は明確な定義がありません。各々の製薬会社が試行錯誤の状態です。そういった状況の中で、日本製薬医学会が製薬会社と共同して、MSL職の定義を決めていこうという動きがあります。20173月現在、中間報告の段階ですが、MSLの定義について、以下に引用します。

『製品の販売活動を担当する職種から独立し、医学的・科学的に高度な専門性、学術知識を持ち社外・社内において医学的・科学的な面から製品の適正使用、製品価値の至適化等を推進する職種。特に、社外での医学専門家、研究者等の医学的・科学的な議論や学会活動を通じて、アンメットメディカルニーズの解決に寄与する。』

また具体的な業務としては、以下の業務が挙げられます。
[各社共通の業務内容]
  • 治験の支援
  • 研究者主導研究に対する会社窓口
  • 市販後臨床試験のサポート
  • 要請に応じた未承認薬および既承認薬の適応外使用に関するノンプロモーショナルな情報提供
  • MRでは回答が難しい科学的な情報の医療従事者への説明

 [各社ごとの判断が必要な業務内容]
  • 研究者主導研究に関する医療従事者とのコミュニケーション
  • MRの教育支援
  • 会社主催、共催講演会の演者スライドレビュー
  • 社内の関連部署、経営陣へのMSLの成果を発信

 上記の中間報告を見る限り、MSL職の業務の定義を一つに決めることは困難なようです。同じMSL職というカテゴリーでも、各社で想定する業務内容が異なるので、入社前に業務内容をしっかり確認した方が良いかと思われます。国内企業ならば、MSL職が導入されたばかりなので、会社内でどういった役割を担うべきかについても、自分たちで試行錯誤して決められるチャンスがあります。MSL職採用は、今が先駆的でチャレンジングな面白い時期なのではないでしょうか。


このブログは、MSL(2016年新卒入社)である私が、MSL職を目指す後輩たちのために、少しでも参考になればと思って書いていくつもりです。もしかすると、MSL職とあまり関係のない書籍(読書が趣味なので!)も紹介するかもしれません。初年度の更新頻度は年に10回以上を目標にしたいと考えています。一緒にMSL職を盛り上げていきましょう!!

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