ロバート・K・グリーンリーフ
英治出版
売り上げランキング: 93,003
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著者のロバート・K・グリーンリーフは、当時世界で最大規模の通信会社AT&Tにて、会社生活のほとんどを、マネジメントの研究や開発や教育に捧げ、退職後は教育コンサルタントとしての活動に加えて、ハーバードビジネススクールの客員講師等を務めるなど教育活動にも精力を捧げた人物です。グリーンリーフは「Servant Leadership “サーバントリーダーシップ”, 1977」にて、自身のリーダーシップ研究をまとめて、既存のリーダーシップとは全く異なる、新しいリーダーシップ像を提案しています。
本書は私の愛読書の一つで、「サーバントリーダーシップ」は私が目指すべき理想のリーダー像だと考えています。ブログで本書を紹介するのは、実はある友人にこのリーダーシップを伝えたいからです。彼はいつも自信なさげではありますが、自信がないからこそ努力をしている人物で、応援したいと日頃からひそかに思っていました。従来の引っ張っていくようなリーダー像は向いていないように見えますが、「サーバントリーダーシップ」なら、優しく思い遣りのある彼なら、向いているのではないかと考えています。彼が少しでも自信を持って、少しでも彼のキャリアにプラスになれば良いと考えています。
「サーバントリーダーシップ」とは何かというと、直訳すると“奉仕者のリーダーシップ”となるだけあって、“尽くすこと”と“導くこと”という一見対極に思えることを両立するリーダーシップです。どのように両立するかというと、リーダーがまず率先して部下に“尽くすこと”で、部下の信頼を得ることができ、結果的にリーダーの掲げる目標に向かって部下を“導くこと”で、リーダーシップを発揮します。
サーバントリーダーが、既存のリーダーと異なる点を表にまとめました (表1)。サーバントリーダーにとって、部下とは、サポートして成功させる対象であり、部下への評価は、いかに努力したか、いかに成長したかが指標になります。部下が成長することを重視するので、既存のリーダーのように立場による強権を利用するのではなく、信頼関係を基にした説得と対話を行います。この説得と対話によって、互いに協力して気持ちよく仕事ができる環境を作り、自発的に仕事を実行するモチベーションを高めます。モチベーションが高まった部下には、さらに権限を委任し、自発的な能力啓発を促し、部下の成長のチャンスに繋げていきます。つまり、サーバントリーダーシップの基本的な考えとは、“部下の成功”のためにリーダーが存在するのであって、“リーダーの成功”のために部下が存在するのではないという発想です。
表1. サーバントリーダーの特徴 (既存のリーダーとの対比)
サーバントリーダー
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既存のリーダー
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リーダーの関心事
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・部下の仕事の障害要因 ・部下の仕事に必要な支援とコーチング |
・部下の仕事の結果 ・部下の仕事の過程と方法 |
部下への考え方
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・最も重要な資源 ・尊重、関心、奉仕、献身する対象 ・サポートして成功させる対象 |
・多々ある資源の一つ ・服従させる対象 ・指示して成果を出させる対象 |
部下への評価
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・努力の程度に対する評価 ・個人の成長中心の評価 |
・結果中心の評価 ・財務的な成果中心の評価 |
部下からの評価
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・心から慕われる尊敬の対象 | ・業務的な能力からの羨望の対象 |
仕事の遂行基準
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・部下の話を第一に傾聴してアイデアを得る | ・上司中心の基準 |
仕事の遂行方法
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・権限委任による自発的な能力開発 | ・指示と監督 |
好む組織環境
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・互いに協力することを優先 ・説得と対話 |
・競争で勝ち抜くことを優先 ・強制的な指示 |
※桜美林大学大学院 国際学研究科 博士後期課程論文「サーバント・リーダーシップの諸理論と事例報告」から引用改変
それではサーバントリーダーシップを身に付けるためにはどうすればよいのでしょうか。NPOグリーンリーフ・センターの前所長を務めたラリー・スピアーズが、サーバントリーダーシップ実践のために必要な10属性を挙げていますので、文末に記載します。
各属性の繋がりが分かりやすいように、私なりに図にまとめました (図1)。サーバントリーダーは人を大事にするので、各属性の中で、特に『傾聴』が重要です。部下の話を『傾聴』することで、部下が望むことを把握でき、部下を惹きつける目標を見つける「概念化」ができます。また『傾聴』による部下との良好な関係性構築によって、部下の信頼感を得た「執事役」になることができます。「概念化」と「先見力」によって、部下に対して現実感も持った魅力的な目標提案を行うことができ、「執事役」で信頼を得ているので、『説得』しやすくなります。リーダーが率先して『説得』を活用することで、職場の雰囲気は説得と対話を重視するようになり、そのような職場では部下もサーバントリーダーとして「成長」していきます。また部下は『説得』により、納得した状態でモチベーションが高く仕事に取組むため、「成長」に繋がります。部下の「成長」を支援し、部下を「成功」させるのが、サーバントリーダーの役目となります。
私もついに社会人2年目となり、所属部署にも後輩が配属されましたので、後輩の指導等にリーダーシップを発揮しなければなりません。サーバントリーダーシップを理論としては理解できましたので、今後は10属性を意識しながらサーバントリーダーシップを実践していき、さらに理解を深めていきたいと考えています。
それではサーバントリーダーシップを身に付けるためにはどうすればよいのでしょうか。NPOグリーンリーフ・センターの前所長を務めたラリー・スピアーズが、サーバントリーダーシップ実践のために必要な10属性を挙げていますので、文末に記載します。
各属性の繋がりが分かりやすいように、私なりに図にまとめました (図1)。サーバントリーダーは人を大事にするので、各属性の中で、特に『傾聴』が重要です。部下の話を『傾聴』することで、部下が望むことを把握でき、部下を惹きつける目標を見つける「概念化」ができます。また『傾聴』による部下との良好な関係性構築によって、部下の信頼感を得た「執事役」になることができます。「概念化」と「先見力」によって、部下に対して現実感も持った魅力的な目標提案を行うことができ、「執事役」で信頼を得ているので、『説得』しやすくなります。リーダーが率先して『説得』を活用することで、職場の雰囲気は説得と対話を重視するようになり、そのような職場では部下もサーバントリーダーとして「成長」していきます。また部下は『説得』により、納得した状態でモチベーションが高く仕事に取組むため、「成長」に繋がります。部下の「成長」を支援し、部下を「成功」させるのが、サーバントリーダーの役目となります。
図1.サーバントリーダーに必要な10属性の関係性
私もついに社会人2年目となり、所属部署にも後輩が配属されましたので、後輩の指導等にリーダーシップを発揮しなければなりません。サーバントリーダーシップを理論としては理解できましたので、今後は10属性を意識しながらサーバントリーダーシップを実践していき、さらに理解を深めていきたいと考えています。
本書は、“リーダーシップ”を身に付けたいけれども、性格的に“リーダーシップ”は向いていないと感じている方に、新たなリーダーシップ像を提案していますので、是非ともそういった方には読んでもらいたいと思っています。本書によって、一人でも「サーバントリーダー」が増えて、少しでも仕事のしやすい世の中になることを願っています。
サーバントリーダーの10属性
(※英語の原文が手に入らなかったので、本書からの引用になります。)
- 傾聴(Listening):大事な人たちの望むことを意図的に聞き出すことに強く関わる。同時に自分の内なる声にも耳を傾け、自分の存在意義をその両面から考えることができる。
- 共感(Empathy):傾聴するためには、相手の立場に立って、何をしてほしいかが共感的にわからなくてはならない。他の人々の気持ちを理解し、共感することができる。
- 癒し(Healing):集団や組織を大変革し統合させる大きな力となるのは、人を癒すことを学習することだ。欠けているもの、傷ついているところを見つけ、全体性(wholeness)を探し求める。
- 気づき(Awareness):一般的に意識を高めることが大事だが、とくに自分への気づき(self-awareness)がサーバントリーダーシップを強化する。自分と自部門を知ること。このことは、倫理観や価値観とも関わる。
- 説得(Persuasion):職位に付随する権限に依拠することなく、また、服従を強要することなく、他の人々を説得できる。
- 概念化(Conceptualization):大きな夢を見る(dream great dreams)能力を育てたいと願う。日常の業務上の目標を超えて、日常の志向をストレッチして広げる。制度に対するビジョナリーな概念をもたらす。
- 先見力、予見力(Foresight):概念化の力と関わるが、今の状況がもたらす帰結をあらかじめ見ることができなくても、それを見定めようとする。それが見えたときに、はっきりと気付く。過去の教訓、現在の現実、将来のための決定のありそうな帰結を理解できる。
- 執事役(Stewardship):エンパワーメントの著作でも有名なコンサルタントのピーター・ブロックの著書の署名で知られているが、執事役とは、大切なものを任せても信頼できると思われるような人を指す。より大きな社会のために、制度を、その人になら信任できること。
- 人々の成長に関わる(Commitment to the growth of people):人々には、働き手としての目に見える貢献を超えて、その存在そのものに内在的価値があると信じる。自分の制度の中のひとりひとりの、そしてみんなの成長に深くコミットできる。
- コミュニティづくり(Building community):人間の歴史のなかで、地域のコミュニティから大規模な制度に活動の母体が移ったのは最近のことだが、同じ制度の中で仕事をする(奉仕する)人たちの間に、コミュニティを創り出す。
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