2018年2月25日日曜日

日本型企業戦略 -CSV (Creating Shared Value)戦略- ①

CSV時代のイノベーション戦略 「社会課題」から骨太な新事業を産み出す
藤井 剛
ファーストプレス (2014-07-02)
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本書を読もうと考えたのは、就活時にコンサルティングファームに一足先に内定を決めていた友人が「CSV (Creating Shared Value) 戦略」について熱く語っていたのをふと思い出して、「CSV戦略」について知りたいと思ったのがきっかけです。
CSV戦略とは、競争戦略論・国際競争力研究で著名なハーバード大学のマイケルEポーター教授が中心となって提唱する経営モデルで、「会社として収益を上げると“同時に”、社会にも貢献する」ことを目指す戦略です。CSV戦略を採用する企業が、成長すればするほど、市場シェアを奪えば奪うほど、世界が良くなっていきます。
CSVは、CSRCorporate Social Responsibility, 企業の社会的責任)とは全く異なる考え方です。CSRは、“会社の利益向上”と“社会貢献”の達成を別々に目指すのに対して、CSVは、“会社の利益向上”と“社会貢献”の達成を同時に目指します。


  CSV戦略を実施にするには、以下の“CSV戦略の公式”が重要となります。また、この“CSV戦略の公式”を実施することによるメリットとしては、4つの理由が挙げられます。

CSV戦略の公式:
社会課題解決(大義力)」×「ルール(新秩序形成力)」×「組織知(再現力)

CSV戦略のメリット:
1.暗黙知による模倣のしづらさ
2.社員の求心力が高まる
3.外部の知を利用することができる
4.ルール作りによる競争優位性の確立

 CSV戦略の公式“の3要素は競争力の源になります。技術進歩に伴って機能・品質・価格などでの差別化が困難な時代に、他社が模倣しづらい“暗黙知”である3要素によって差別化ができて、収益捻出期間の維持と拡大ができます。 「社会課題解決(大義力)」があることで、仕事が社会貢献に直結しているので、社員の仕事へのモチベーションや会社への求心力が高まります。 大義を掲げてその魅力を訴求して、社員だけではなく社外の人間を含めた多様なプレイヤーを大義の下に束ねることで、外部の知を利用するオープンイノベーションを活用しやすくなります。 また、社会課題が発生する背景には、何かしらの機能不全に陥っている事態があると考えられるので、市場の「ルール(新秩序形成力)」を新たに仕掛ける大義名分も立ち、ルール作りによる競争優位性も仕掛けやすくなります。 CSV戦略を継続して、市場の変化を自らリードする企業になるためには、「組織知(再現力)」も必要ですので、再現性を高める仕組みを構築する必要があります。


◆なぜ“日本型”企業戦略と言えるのか?
◆なぜCSV戦略が今後普及していくのか?
◆医療業界におけるCSV戦略にはどのようなものがあるか?
…については「日本型企業戦略 -CSV (Creating Shared Value)戦略- ②」に続きます。

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